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パンズ・ラビリンスとラスト・コーション

この二本の映画を立て続けに観たのですが、どちらも戦時下という時代設定で、心に残る映画ですが戦争という悲しいテーマに疲れました。

「パンズ・ラビリンス」 ☆☆☆
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1944年スペインフランコ独裁政権時代、内戦で父を亡くした少女が、独裁主義者ヴィダル大尉と再婚した母とともに生きていく様を描いたファンタジー映画。と思ってたら、これが空想部分より現実部分のウェイトが多く、というより現実部分のリアルなグロさに正直「まいった!」と感じさせる重い映画でした。

2006年のカンヌ映画祭で20分のスタンディングオベーションを受けたのをきっかけに、世界の映画賞をにぎわせ、第79回アカデミー賞でも6部門ノミネートされ、美術賞、撮影賞、メイクアップ賞の3部門を受賞した話題作だというだけで観に行った私は、あまりの戦争描写のリアルさにすっかり疲れてしまいました。目を覆いたくなるシーンが何箇所かあり、次はいつ残酷なシーンがくるのだろうかと、どきどきしてしまってかなり辛い映画でした。あのフランコ政権時代にレジスタンスに対しては実際にしていた行為であると考えると余計に寒気がしました。でも、それはフランコ政権に限らず、戦争という脅威の下では、誰もが報復措置に出ていた想像できるわけで、そう思うとますます寒気がしました。

人は目の前の現実だけを見つめて生きていけるのか。
もし目の前の現実があまりにつらすぎるとしたら -。
少女の見ている世界は現実なのか空想なのか。

ラスト、少女オフェリアの顛末は2種類提示されています。
現実を信じるのか、物語を信じるのか どちらも真実だと思うのか
解釈はまさに観客ひとりひとりに委ねられています。

「ラスト・コーション(戒色)」 ☆☆☆☆
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予告で、アン・リー監督トニーレオン主演とみたら「なにはともあれ観なくては」と馳せ参じたのですが、158分は長い~最近、映画館で「すやすや」が多いわたくしですから、微不安。
しかし、前半ちょっとやばかったのですが、その長さを感じさせなかったのですから、さすがの作品です。

日本占領下の40年代上海を舞台に、抗日運動に身を投じた女スパイ、ワン(タン・ウェイ)と、彼女が近づく日本の傀儡(かいらい)政権側の“顔役”イー(トニーレオン)の、禁断の愛を描いた物語です。冒頭、麻雀シーンの「目は口ほどにものを言う」的カメラワークは見ものです。麻雀をやる私にはよくわかるのですが、麻雀ってその人の性格が出ますからね。4人の女性のお互いの腹の探りあいが後に何か暗示しているだろうと深読みして観てました。

全然映画内容に関係ないけど、日本と中国の麻雀は違いますね。健康麻雀教室で日本独自のルールがいっぱいあると聞いてましたが、確かに。映画で観るかぎり、中国麻雀は「ポン・チィ」連発で、ほとんど鳴いてあがってました。日本式は、なるべく面前できれいな手を作る方が上手いと言われてますからね。

で、映画ですが、独特の雰囲気に包まれ、人間の悲しさが溢れた作品でした。
日本軍の侵略・内戦を描き、戦時下における人間の生というものが何なのか、いろいろ感じさせてくれる映画でした。トニー・レオンがいままでになく「悪」を演じながらも彼らしい魅力にあふれている映画でした。日本で六ヶ所修正が入ったという話題の性描写は確かに激しいものでした。しかし、このシーンなくしてこの映画はなりたたないというアン・リー監督の想いはワン(タン・ウェイ)がクァン(ワン・リーホン)に終盤語った言葉に表現されてました。あのワンの心の叫びは、ずーんと胸に響きました。あの瞬間だけが、生きているということを実感できたんでしょうね。

ラストは肉欲のこと、コーションは忠告、戒めのこと。
1+1=2
というような単純明快でないからこそ、この映画の魅力があるんだと思いました。
by mtanpopo2 | 2008-02-06 00:41 | 映画

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